ふたりぼっちの配信リレー vol.1 鈴木大介さん×しみこ 視聴レポート

イベント概要

2021年 1月24日(土)の「ふたりぼっちの配信リレー いつおか おしゃべりライブ」では、「偏りと共に生きる~心の居場所を見出したどり着くためにできること~」をテーマに、「いつでもおかえり」代表のしみこさんとのオンライン対談企画が行われました。
お話をしてくださったのは、「『脳コワさん』支援ガイド」などで著名な文筆家・鈴木大介さんです。


イベント開催の目的

この企画は、「いつでもおかえり」という気持ちの受け止めあいができるコミュニティのアプリが2月にリリースになることを記念して、「気持ちのことに詳しい」かたからいろんなお話を聞いて、配信リレーをしよう、という企画です。

イベント開始!

オンラインでの対談ということで細かなトラブルはありつつも、対談が始まりました。
しみこさんから事前に用意したという質問が上げられます。

「偏りをもった自分を受け入れられるまで、どんな葛藤がありましたか?」
「大丈夫じゃないとき、どうやって自分を受け入れていますか?」
「自分の悩みや気持ちがわからないのですが、どうすればわかるようになりますか?」

「受け容れること」の葛藤について


さっそく一つ目の「偏りをもった自分を受け入れられるまで、どんな葛藤がありましたか?」というテーマについてのお話が始まります。


 鈴木さんは2015年、41歳のときにアテローム型脳梗塞により高次機能障害の当事者となりました。現在も記憶や感覚などを中心に「偏り」を抱えながら、生活や活動をしておられます。

ご自身のもつ「偏り=特性」の受容について、「受け入れないと生きていけない」と語っておられました。仕事や人間関係で苦しい思いをせずによりよく生きるためには、受け入れたほうが戦略的なのだそう。

ただ、偏りの内容自体に気づくまでは3~4年という時間があったそうです。自分が抱えている不自由やできなくなったことが「この障害のどの特性のものなのか」というのを知るためには時間を要したということでした。

ところが、子どものころからもつ自分の偏りは現在も受け入れていないということです。「普通の人とはなじめていない感覚」が幼いころからあったそうですが、そこに関しては受け入れない、という選択をしたということです。

ご自身のそういう偏りを受け入れてくれる人たちと交流をする。本当に近しいご友人や、パートナーさんに対して「僕は納得していないけれど、あなたたちが納得してくれればいい」というスタンスでおられるそうです。

自分の子どものころからの特性など、受け入れなくてもいいかな と思っているそうです。

根本的な特性そのものを変えようとしても多分、無理なので、それで生活上困らないようにするとか、「周囲の人間がそれを分かってくれる 」という安心があれば、意外と自分が「まわりと比べて劣っている部分」などについてはそんなに気にならなくなるそうです。

「必ずしも無理に受け入れなくてもいいのではないか」ということ、生きていけるのであれば無理に受け入れるってこともないという感じなのかな。「ものによる」ということですね。

近くに信頼できるかたがいらっしゃったり、もちろん全員ではなくとも 近しいご友人やパートナーさんをすごく信頼されているのがとても伝わってきてきます。しみこさんは「自分で自分のことをすべてどうにかしなければならない」と思っていたのだなということに鈴木さんのお話を聞いていて気が付きました。

「大丈夫じゃないとき、どうやって自分を受け容れていますか?」

そして、「大丈夫じゃないとき、どうやって自分を受け入れていますか?」というテーマにについてのお話が始まります。(13:37頃~)

中途でおった障害特性による「大丈夫ではないこと」は、全て諦めたのだそうです。日常生活で使うことができるキャパは、ほとんど同じところから出ていると考えておられます。パートナーさんに対して優しくできない、と思ったらときは大概のことをあきらめると優しくできるそうです。

仕事や、自分のやらなければいけないことなど以外にも、視覚や聴覚の過敏があるため、たくさんの外的な情報に力を割かれるのだそうです。なので「妻に優しくしたかったらうるさいところに行く前に耳栓をする」など、いろんなことを調整して、最優先のことを「最優先」にするという工夫をしておられます。

「何もかも大丈夫ではなくなる」ということは人生であまりなくて、「これさえ大丈夫なら自分は大丈夫」というのがあればいいなと思っておられるのだそう。「0点ではないように」という風に集中して、あまり欲をかかないようにしていると語ってくださりました。

「自分の悩みや気持ち、どうしたらわかるようになりますか?」

最後に、「自分の悩みや気持ちがわからないのですが、どうすればわかるようになりますか?」というテーマについてのお話がありました。(17:00ごろ~)

これは、対談をしているしみこさん自身のお悩みでもあります。悲しい・怒り がその場であまりわからないことがあり、あとになって気が付くことがある。また、自分が怒っていると感じていても「怒っていない」と思われたり、逆に怒っていなくても「怒っている」と思われたりすることもあるのだそうです。

鈴木さんによると、そもそも喜怒哀楽というのは高度な自己理解なのだそうです。わからない人にとっては本当に、自分が怒っている・喜んでいるなどの感情がわからないものなのだそう。

こういった「喜怒哀楽」という自己理解の根本には「不安/不安でない」「苦しい/苦しくない」といったことがあります。そのため、そこがわからないと上位段階である喜怒哀楽はわからないということでした。

「不安/不安でない」「苦しい/苦しくない」については、2つの観点があるそうです。まず「自分が不安だとわかる」というもの。それから「なぜ不安かを見ていい人と見てはいけない人がいる。」というもの。

例えば、トラウマ体験があるような人にとっては、自分の不安の根底についてひとりで直面しないほうがいいような場合があり、きちんとした専門的な誰かの力を借りたほうがいい。自分の抱えている不安を冷静に考えられる状況であれば、合理的に不安をとっていくことが必要だと仰います。

ご自身が障害の当事者として生きてこられた中で「不安でできなくなること」はたくさんあるのだそうです。その不安を乗り越えてこられた中で、「直視しても大丈夫であれば見つけて取っ払てしまったほうがいい」という考えをもたれました。

さらに、「不安にはおおよそ5分類ある。」と続けてくださります。
天候・経済・対人・将来・なんだかわからないものの五つで、これら五つの不安に関しては、「解決しなくてもアプローチをする」と決めるだけで不安が和らぐことがあり、1つの戦略として組み込んできたそうです。

鈴木さん自身、不安の多い子ども時代を過ごされました。自分みたいな人はほかにいない、どうやって生きていけばいいのだろう、という不安を抱えていた鈴木さんは「多様なバイトをする」ということで解決を試みます。多く手に職をつけることで、何とか生きていけるのではないかという戦い方をしたと教えてくださりました。

ネガティブな反応というのは、自分自身の行動とあわないことがあるため、わからなくても当然なのだそうです。

自分の思いを表出させるには?

ここまでのお話を受けて、「一人でいるときに自分の思いをため込んでしまい、結果寝込んでしまうことがある。表出させるのが難しい」としみこさんが質問を重ねました。

質問をうけて、鈴木さんは「外在化」についてのお話をしてくださります。

外在化:自分のこころの問題を客観的にみるために、「自分の外にあるもの」として対処すること。


自分の奥底に「見てはいけないもの(トラウマ体験など)」がないのであれば、人に話すなどの外在化を積極的にしていくとよいそうです。ただ、自分の奥底にあるものが「見ていいものなのか」の判断がつかない場合もあります。これについても、「見てはいけないこと」とは、大きな被害経験とかのことで、思い当たるものがないのであれば外在化してみるというのもよいかもしれない、と続けてくださりました。

「外在化」というと肩ひじ張ってしまう人が多いけれど、そんなにエネルギーを使う方法でなくてよい、と鈴木さんはおっしゃいます。書きなぐりでも、文字にならなければ絵でもよく、「本にしたり記事を書いたりしなくては!」と思わなくてもよいのだそうです。鈴木さんはカタカナで書きなぐったりするのだとか。

自分の中でハードルを上げて『ちゃんと書かないと』と思ってしまうことに心当たりがあるというしみこさんに、鈴木さんはこう続けます。

「外在化、するぞ!」と複雑にやっていこうとすると、書いているうちに自分の中で解釈してしまい、ストーリー化が進むことで、本質が見えづらくなることがある。だから、吐き出すつもりで出たままのものをあらわすことが大切。ちゃんとした物語にしないと、とか書いてるとだんだん曲がってくる。ということです。

この言葉をうけて「誰に見せるものではない。自由に書きなぐればいいのか!トライしてみよう」としみこさんは言っていました。

最後に、アプローチするときには身体のケアをしたほうがいいよ、と言い添えてくださりました。自分の基本的なレベルで生活をケアする必要があるということです。
これは、鈴木さんが「ウツ婚!」の作者・石田月見さんのコメントをうけて感じたことだそうです。

忘れがちではありますが、最低限『ごはんを食べる』『寝る』『歯を磨く』『お風呂に入る』といったことを大切にすることが重要だということです。

鈴木さんがクラウドファンディングにかける思い

鈴木さんはいま、クラウドファンディングに挑戦しておられます。

残りわずかの期間で、ネクストゴールを目指しておられるとこのプロジェクトは、鈴木さん自身もその当事者である「高次脳機能障害」について社会に知ってもらうためのものです。聞き取り調査を基にしたアーカイブ作成をするというチャレンジです。

高次機能障害を抱える人には、未診断であることや社会の認知不足により 就職先などに戻った際に躓く方が多いのだそうです。困難を理解してもらえないことや過剰な過小評価により、障害でない部分で苦しむことになってしまうかたが多いのだといいます。

ただ、多くの理解と小さな手助けで「できること」が大きく増えるのだと鈴木さんはおっしゃいます。この「理解」のために、鈴木さんとパートナーさんは動いておられます。

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