社会の諸問題を経済・経営・ITなどの多面的アプローチから検討する情報経済学部の中で、佐藤准教授のゼミでは特に社会保障や社会福祉のあり方をテーマに、日々の学びが行われています。
社会福祉領域でIT事業を行う弊社の活動や理念とも親和性が高く、そういったご縁から清水と大学生とのインタビュー形式の講義が実現しました。
講義の概要
講義に先立ち、「いかに『いつでもおかえり』の事業を拡大するか」というテーマで、学生から多くのご質問やご意見、ご提案などを頂きました。本講義ではそれらに清水が答えながら、「いつでもおかえり」で解決すべき課題、「いつでもおかえり」が心理的安全性を担保するための方法論や仕組み、事業運営の現場についてなどをお伝えしました。
講義後の反響
ゼミに所属する大学生からは、多くの感想・考察を頂きました。
💬自分の気持ちを否定する人間がいない場である「いつでもおかえり」は、居場所がなくて孤立していたり誰にも相談できない悩みがあったりする人に必要であり、安心が得られるという重要な役割を果たすのではないか
💬今まで必要なのに身近になかったもの。必要な人に届いて欲しい
💬カウンセリングに行けば、確かに問題を解決できるかもしれない。しかし敷居が高いことや偏見から、行きたくないと感じる人はまだまだ多いと感じる。それでも誰しもが悩みを抱えているだろうし、そんな人々の助けに「いつでもおかえり」はなることができると考えた。
💬何個かアプリ内の部屋を覗いてみたが、非常に気持ちが良かった。トークテーマが部屋ごとに分かれていることで、その部屋ではテーマについてのトークだけがなされている。自分が必要としていないテーマを回避することができることが一番のメリットだと感じた
💬はじめは匿名であることで誹謗中傷は起きないのか、同じ境遇の人同士で話してもよりマイナスな方向にいくだけではないかなど、運営面やシステム面などに不信感を持っていた。しかし授業を通じて、匿名制のリスクに対しては書き込みまでの障壁を高くする仕組みや、ミュート機能などの対策がなされていることが分かった。また、境遇が同じ人同士では負の方向に導かれるのではないかという点に関しては、傾聴活動に重きを置いているなど、一つ一つにの疑問にきちんと対策が考えられていることが分かった
💬悩みが身近な人との間に発生しやすいからこそ、身近でない「誰か」に相談できる環境づくりが必要だということを聞いて、確かにと感じた
💬カウンセリングとは違い、気軽に利用することができ、一方的な関係性ではなく利用者同士でお互いに気持ちを受け止めあうことができる。そのため自分が出した感情に対して、周りからリアクションを受けることで自分を見てくれている人がいると実感でき安心感を得ることができる。手軽でハードルが低く、カウンセリングの一歩手前のような相談支援の在り方だと感じた
講義を終えて ~ 佐藤准教授より ~
日本の社会福祉事業は、政府による供給が歴史的に過少であるため、公的福祉で対応できないニーズに、非営利の民間事業者が持ち出しで対応するか、福祉を目的としない民間事業者が収益事業で得た利益をCSRや節税目的で福祉に当てる等のかたちで対応してきました。
そうした慈善事業的な供給でも、日本型の「雇用」や「家族」がセーフティーネットとして機能したため、人々の「生きづらさ」のようなものは、今日ほど顕在化しませんでした。
しかし、経済成長が低迷し、「雇用」や「家族」というセーフティーネットに揺らぎが生じるなかで、従来型の過少な公的福祉や慈善事業的な福祉供給だけでは対応できないニーズが顕在化してきています。
そこで、「福祉=慈善事業」ではなく、福祉そのもので営業利益を得る本質的なモデルを作っていくことが重要です。そのモデルに感化されて、さまざまな民間事業者が参入し、サービスが量的にも質的にもスケールアップしていくことが見込まれるからです。
いつでもおかえりが、儲かる福祉供給モデルの代表格となることを心から期待しています。
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株式会社祭では「自分の人生を自ら選択できる社会へ」というビジョンのもと、今後も社会に様々な形で貢献してまいります。
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